
建築物や可愛い街を巡るのが好きだった頃の私は、国境は飛行機や電車で越えるもので、歩いて越えるなんて、考えたこともありませんでした。
10年ほど前、ナイアガラの滝を見に、カナダのトロントへ行った時のこと。地図を見た私は、ナイアガラ川の西岸がカナダ、東岸がアメリカであることに気がついたのです。調べてみると、レインボーブリッジという徒歩で渡れる橋がかかっており、橋の両サイドに出入国審査場がある様子。パスポートを提示し、たった50セント(現在は値上げされているとのこと)支払うだけでカナダからアメリカに行けてしまうのです。(アメリカ入国の際はESTAが必要です。私は取得していたため、パスポートの提示のみ必要でした。)

橋を歩いていると、ちょうど真ん中あたりにアメリカとカナダの旗が立っているのが見えてきます。旗の麓に着くと、欄干に「INTERNATIONAL BOUNDARY LINE」の看板が設置されており、カナダとアメリカの国境であることが示されています。
国境というと、簡単には登れないような高い壁があって、警察や軍隊が常に見張っているような。そんな勝手なイメージを持っていたので、むしろ拍子抜けするほどでした。その時は周囲も和やかなムードで、私と同じように、国境を徒歩で渡ることにワクワクしている人ばかりでした。
国境を越えるなんて、とても大層なことのように感じていましたが、意外にも簡単で逆に驚いたことを、鮮明に覚えています。

ところで、ナイアガラの滝というとカナダのもののようなイメージが強いかと思いますが、ナイアガラの滝とはこのエリアの滝郡のことで、実は両岸にある滝の総称のこと。
ガイドブックに大きく紹介されているのは、カナダ側のカナダ滝(ホースシュー滝)で、水量が最も多く、迫力満点です。これは「ナイアガラの滝」観光に来た人のほとんどが訪れ写真に収め、アクティビティを楽しむところです。
アメリカ側のレインボーブリッジのすぐそばからみることができるのは、アメリカ滝。滝の目の前まで近づくことができるという魅力がありながらも、カナダ滝に比べて観光客が少なく、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
ナイアガラの滝を訪れる際は、ぜひ徒歩で国境を渡り、アメリカ滝も見てきてくださいね。
ライター:あすみ