飛行機でのビジネスクラス、新幹線でのグリーン車、ホテルでのスーペリアルーム…世の中の宿泊・移動サービスには複数段階のグレードが用意されていることがありますね。
当然、庶民である私が普段使うのは最もスタンダードなグレードです。飛行機はエコノミーだし新幹線は自由席、ホテルも基本的には安い部屋を選びます。
そんな私ですが、大好きな旅行中に限っては「少しは贅沢をしよう!」という気持ちがあります。旅行とは、将来の自分への『思い出のプレゼント』です。非日常の体験をして、何十年経った後でも「◯◯に行ったときはこんな体験ができたな〜」と思い出してニヤニヤできるのが旅行の醍醐味でしょう。
そこで伊豆旅行を計画した際、その移動手段でちょっと贅沢することにしました。東京から最安値で行くなら普通列車、最もスタンダードな方法で行くなら特急列車で移動するでしょう。そこを敢えて、全車両グリーン席である特別な列車「サフィール踊り子号」に乗ることを選択したのです。

移動時間は通常の特急列車とあまり変わりませんが、その内装はやはり桁違いの豪華さです。しかも私は、サフィール踊り子内でも「通常のグリーン席」よりグレードアップされている「プレミアムグリーン席」で予約しました。通常の特急列車の場合と比較すると、料金は6,000円以上も追加でかかります。さぞかしプレミアムな体験ができるのだろう、と期待を膨らませて乗車日を迎えました。

さすがプレミアムグリーン席!車両全体がコンサートホールのような厳かさと高級感に包まれています。座席は1席ずつのセパレート。リクライニングやフットレストはボタンを押して稼働させます。バックシェル構造(フルでリクライニングしても後ろの人に迷惑がかからない構造)であるのも流石ですね。

座席そのものを回転させて窓側に向ければ、伊豆の海景色を独り占めすることもできます!なんて贅沢な空間なんでしょう!これは素晴らしい!
と、始めは興奮していたのですが、次第にこの席ならではのデメリットも見えてきました。
今回の旅行は高校時代からの友人と行きました。席は隣で予約したのですが、1席ずつ独立しているプレミアムグリーン席。プライベート空間を確保しすぎて隣を向いても顔を合わせることができません。

東京→伊豆の移動は通常の特急列車で移動したので、楽しいおしゃべりをしていたらあっという間に伊豆に到着していました。しかし伊豆→東京のサフィール踊り子号での移動では、あまり話すことができずに旅を終えました。
プレミアムグリーン席は、”ひとり時間をより充実させる”というコンセプトなのでしょう。一人旅やビジネス利用で真価が発揮される一方で、友人とおしゃべりを楽しみたい!というユーザーには合わなかったのかもしれません。
「何事も高価であれば絶対に良い」という固定概念だった私にとって、この経験は重要な知見を得ることができました。プレミアムグリーン席そのものは当然素晴らしい空間でしたが、状況や旅の目的に応じて移動方法やホテルのグレードを変えることが重要なんですね。
ライター:あぐ