中学や高校での現代国語や古典の授業中、先生の少々退屈な話を勝手にBGMにして、新学期に配られた『国語便覧』を読み耽っていた大変けしからん学生は、きっと私だけではないと思っています。
あの時に読み耽っていた便覧は無くしてしまいましたが、先日大型書店に行ったら、店頭に平積みで並べられていたのです。
まさか本屋で便覧が普通に売られているとは! と思わず購入してしまったのです。
それが数研出版『プレミアムカラー 国語便覧』
お値段なんと990円。1000円でおつりが来るのに辞書みたいな大ボリューム。
大きく分厚いので持ち歩くのにはおそらく向きませんが、想像以上の内容量にものすごくびっくりしてしまいました。
国語便覧、とのことですが古典の便覧もある程度兼ねているのか、平安時代の貴族の暮らしや季節の風物などといった図説資料がたっぷりと載っています。
あっこれ前の前の大河ドラマ『光る君へ』の副読本としても良かったのでは? 更には江戸時代の本の解説も入っていたので、昨年の大河ドラマ『べらぼう』の副読本としても良かったのでは? つまり、一家に一冊あってしかるべき1冊なのでは……と、とにかく、びっくりを通り越して驚嘆することになったのです。
漢文の資料も兼ねているらしく、こちらも各種図説が満載です。
科挙の過酷さや(今も昔も受験戦争はまさしく『戦争』だったのです……)遣隋使や遣唐使といった日本との関わり、思想や史伝、詩文に小説と盛りだくさんです。日常会話で使えそうな(?)故事名言がたっぷり載っているのも、漢文ならではですね。
そして現代文。特に驚かされたのは、「えっ今の中高生って学校でこの作家も習うの!?」といった現代作家の錚々たる面子です。
冷静に考えると私が国語の便覧をリアルタイムで読んでいた●十年前から、新たな作家さんが増えているのは当然なのですが、普段本屋さんで目にしている新進気鋭の作家さんが顔写真付きでずらりと載っていると、ちょっとびっくりもしてしまいます。(この作家さん、こんなお顔だったんだ……という新鮮な、そしてちょっぴり失礼かもしれない驚きも正直あります)
「平成・令和文学の流れ」の項にはケータイ小説(懐かしい!)やライトノベルの紹介もあり、そして女性作家の活躍もがっつりと載っていて、私の頃にはなかったよなあ……というちょっと嬉しいような、羨ましいような気持ちになります。
そう、『サラダ記念日』に、『ノルウェイの森』、そして『ハリ-・ポッターシリーズ』。昭和や平成という、もはや「レトロ」とされている(私たち青春時代を平成に生きていた世代に言わせれば「いや、ついこの前だったじゃん……」と言いたくもなるのですが!)時代を鮮やかに彩った綺羅星のような作品達が、あますことなく紹介されているのです。(村上春樹の頁は特に氏の著作がいっぱい紹介されていました)
更に漫画では『ONE PIECE』がギネスに認定されている件なども明記されています。つまり、国語の便覧に漫画の紹介が載る時代がきているのです。
更にはこの便覧には「表現」というコーナーが設けられており、言葉でのキャッチボールの方法にはじまり、文章の理解や要約方法、そして読書感想文の書き方やブックトークの仕方、更には面接の方法、履歴書の書き方、手紙やメールのきちんとした書き方まで大変手厚く解説されています。大人になってもきちんと使える! すごい! と思わず感動してしまいました。
なお資料の読み方の頁には、棒グラフや円グラフの読み方の解説、環境問題や持続可能社会の解説の頁コンピュータやインターネットの発達に伴ったメディア・リテラシーの頁には、ソーシャルメディアにおけるエコーチェンバーやフィルターバブルへの注意喚起もあって、いやこれはむしろ学生達の親御さん達が読むべきやつでは? みたいな気持ちにもなりました。
惜しむらくは、海外文学の欄がちょっぴり(いや、かなり)薄いこと。
私の時代と、ここだけそんなに変わってなかったな……と思いました。海外の現代作家も取り上げてくれてたらパーフェクト! だったと思いますが、きっとこの便覧全体の内容量とお値段、その他諸々を鑑みるときっとこれでギリギリだったと思うので、ここは片目を瞑ろうかな、と思います(海外文学の便覧、作ってくれないかな……という気にはなりましたが)
というわけで、大人になってから読む国語便覧、とても有意義だと思います。
手紙やメールを書くとき、絵や文章を書いたり描いたりするとき、大河ドラマや時代劇を観るとき、歴史漫画を読むとき、歴史や文学を題材としたゲームをするときなどにも、傍らに資料として置いておくのに大変良い1冊だと思います。
お値段以上の役割をしてくれること間違いないこの国語便覧。昔お世話になった人も、昔は実はあんまり読んでなかった人も、もう一度、是非お手にとってみてはいかがでしょうか。勉強というのは、大人になってからでも遅くはないのですから!
@akinona

