2024年9月末。今後の人生を真剣に考えた結果、5年以上お世話になった職場を退職することにしました。まだ28歳です。不安しかありませんが、自分の選択に後悔はありません。
敢えて次の就職先を決めずに退職したのも理由があります。この束の間の自由な時間を使って「今しかできないこと」をしようと決めていたのです。(大好きな祖母との最後のお出かけや、人生で初めての長期の海外旅行などを実行できて大満足です。)
「今しかできないこと」の一つに、母への孝行も含まれていました。何かをプレゼントしようと考え、どうせなら「モノ」ではなく「息子との旅行」をプレゼントしようと画策していたのです。
我が家の「家族旅行」は幼少期の人生一回きり。それも福引で当たったものでした。当然母は旅行の経験に乏しく、1人で旅行することはまずありません。せっかくなので一生の思い出になるような、ビックな旅行を計画したいなぁと調べていると…
「36ぷらす3」という(とても電車の名前とは思えないような奇抜な名前の)観光列車に乗って、6泊7日で九州を一周するというツアー商品を発見しました。普通に就職していたらまず実現できないような日程です。しかも価格は2人で約50万円という大金ですが、退職金を使えばなんとか工面できそう。ちょうど九州はあまり行ったことがなかったし、これは行くしかない!!と勢いでツアーを申し込みました。

「36ぷらす3」という独特な名前には、さまざまな意味が含まれているようです。
- 九州は世界で36番目に大きい島であること
- 「驚き」「感動」「幸せ」の3つをプラスしたいこと
- 「お客様」「地域の皆様」「JR九州」の3つが一つになること
- 36+3=39(サンキュー)=感謝の輪を広げること
このような思いが詰められた観光列車の内装は、想像以上に豪華絢爛な造りでした。

ラウンジカーはまるで美術館のようなデザインが床や天井に施されています。木のぬくもりも感じることができ、窓は障子のある襖を開けることで車窓を楽しめます。和と西洋の美が調和した、贅沢な空間です。この車両はいつでも誰でも自由に利用できます。

車両によって若干異なるのですが、私が利用した6号車の座席はこちら。なんと床は畳敷きで、6号車に入る前に靴を脱いであがります。今まで数々の観光列車に乗ってきましたが、電車内に和室があるのは初めての経験でした。しかもシートはフッカフカ!気を抜いたらすぐに眠りに落ちてしまいます。

車内では、九州各地の地酒やおつまみ・記念品などが販売されています。熊本通過中は熊本の地酒、鹿児島通過中は鹿児島のおつまみなど、走行する地域に合わせて購入しました。ちなみにおすすめは宮崎県のロゼワインです。
ずっと電車に乗っている訳ではなく、寝るときはホテルに宿泊します。乗車前の朝や降車後の夕方などはその地域の観光もできました。九州グルメや有名観光地を一気に楽しむことができる、とても価値のある体験です。
そんな充実した6泊7日を母と過ごすことができて本当に良かったと思います。母はとても喜んでくれました。後にも先にもこのような体験はもうできないでしょう。でも、今後の人生で九州を訪れる度に「ここオカンと一緒に見たな〜」とこの日の思い出が蘇るのはとても嬉しいですね。
旅行が大好きなので贔屓してしまうのは当然なのですが、私はどうしても「モノ」より「思い出」がプレゼントに最適だと考えてしまいます。確かにカタチには残らないけれど、カタチ以上に思い出になるのではないでしょうか。
もし大切な人への贈り物を考えているのなら「あなたと一緒にする旅行」をプレゼントしてみてください。それは決して無くすことも奪われることもなく、あなたと大切な人だけの記念として、今後の人生でずっと残り続ける思い出になることでしょう。
ライター:あぐ