観光先を探していると「ダム観光」がたびたび現れるが、今まで私は敬遠していた。大抵はアクセスが悪いところにあるし、ダムを見た所で何か感動できるとは到底思えなかったからだ。ダムを見るくらいなら、その交通費でちょっと良い旅館に泊まって部屋でゆっくり過ごすとか、ご当地グルメを食べ歩いた方が良いという考えだった。
富山旅行を計画したとき、観光先として「黒部ダム」が外せない、という情報を目にした。日本で一番の高さを誇る巨大なアーチ式ダムらしい。正直、日本一高いダムを見に行ったところで…という気持ちだった。アクセスを調べても、立山黒部アルペンルートの複雑な乗り継ぎを経てようやく辿り着けるという。
いやいや、やっぱりナシだ。そう考えていたところに「ツアー」の存在を思い出した。立山黒部アルペンルートの乗り継ぎ方法を調べたり、個々のチケットを買ったりするのは大変そう。じゃあプロに手配を任せて、ガイドさんに付いていくだけのツアー旅行に参加すればアクセスのハードルはグンと下がるではないか。
「ダムを見るのも人生経験の一つか」と思い直して、黒部ダムを見に行くツアーに申し込んだ。ツアー代金さえ払えば、あとはすべて手配してくれるので大変助かった。アクセスの悪い場所への観光は今後もツアーを利用しようと思う。
ケーブルカー→バス→バス→ロープウェイ→ケーブルカーと乗り継いで、ようやく黒部ダムに到着した。ケーブルカーを降りてトンネルを歩いた先に見えてきた景色は…

エメラルドグリーンの黒部川と、黒部ダムの堤防。おぉ。この雄大さには、たしかに圧倒される…!

堤防の上まで移動して、黒部川を正面に捉える。まるで湖かのように見えるが、この幅で「川」らしい。5月だというのに山には雪が残っていて、黒と白の配色がまるで水墨画で描かれた作品のように見えた。ただただ広がる自然の景色。都会に住んでいたらまず見ることはできない絶景だった。
この時点でダム景色の素晴らしさに心を奪われていた私は、外の階段をひたすら上って展望台から眺めることにした。階段の外に目をやると、高所恐怖症ではない私でもかなりスリリングな景観だ。悲鳴をあげて撤退した観光客も居た。

展望台から見る黒部ダムは、堤防から見る黒部川の景色とはまた異なる感動だった。黒部川の美しい水面が堤防で途切れ、そこから先は断崖絶壁になっている。えん堤の高さ日本一は伊達じゃない。こんな高さの人工物を、いったいどうやって…!

あまりにも現実離れしている光景にシャッターを切る指が止まらなかった。この感動をどうしても記録しておきたかった。もともと「観光放水がない時期です」と聞いていて「放水がないダムなんてますます見どころがないじゃん」と思っていた私をビンタしたい。
写真と実物はまったく違う。予想は良くも悪くも裏切られる。やはり実物を見ないことには、軽々しく評価できないな…と実感した。これからも色々な場所に行き、自分の目であらゆるものを見て感動したい。私の旅はまだまだ続きそうだ。
