阪神・淡路大震災から30年、東日本大震災から15年経った今年9月20日から神戸市立博物館で「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が始まった。7月5日〜8月31日に大阪市立美術館で開催された「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」に続き、ゴッホの傑作が関西に上陸。
本展ではクレラー=ミュラー美術館が所蔵するコレクションの中から「夜のカフェテラス」をはじめ、約60点の作品の他、同年代の作家たちの作品が展示される。もちろん注目は「夜のカフェテラス」だが、オランダ時代・パリ時代・アルル時代に描かれた作品を年代順に並べ、ゴッホの画家人生の前編が分かる仕様になってることにも着目したい。
人気の高さと比例する行列

筆者が到着したのは10:45ごろ。その時点ですでに入り口からあふれる人だかりに嫌な予感がした。近くにいた整列スタッフの方に聞くと、当日券を購入する人は会場に入るまで約2時間待ちだという。ちなみに事前チケットを購入している人でも1時間近く待たされているらしい。
「しまった…」と落胆した。9月とはいえ30℃を超える猛暑の中、1時間ほど立ちっぱなしで、かなり体力を削がれてしまった。やっと入館しても1時間以上列に並ぶ羽目になってしまった。
やはり今年はゴッホの年。会場に入るだけでも、大阪関西万博の人気パビリオンと同等の忍耐力を求められるのだと痛感した。
お目当てはもちろん「夜のカフェテラス」

夜空の『青』と灯りの『黄』のコントラストになんとも言えない魅力がある。当時の西洋絵画では夜空は黒か灰色で表現することが多かったのに対し、青で表現する本作はかなり斬新な表現だったそうだ。
青で表現した夜空は、澄んだ空気感が含まれているように感じる。ゴッホが現場でイーゼルを立て、暗闇の中で、この夜の街中を油彩で描いたのだと思うと、彼が肌で感じた夜風や人々の匂い、話し声もこちらに届くように思える。静かな作品であるのに臨場感やリアル感があるように思えるのだ。
「自画像」を撮るのに1時間

「夜のカフェテラス」と「自画像」はなんと”正面から撮影するための行列”がそれぞれできていた。ちなみに「夜のカフェテラス」の最後尾は約1時間待ち。
これでは入館から展示室を出るまでゆうに5〜6時間かかってしまう。人混みで疲れ切ってしまうので休憩も入れると、閉館時間までいることになってしまうだろう。
改めてゴッホの人気ぶりが伺えた。ただし筆者には時間的余裕はなかったので、見たい作品だけ見てさっと会場をあとにした。
【注目】2027年2月には「アルルの跳ね橋」が来日!
「大ゴッホ展」は神戸からスタートし、来年2月は福島県立美術館、5月末には上野の森美術館を巡回する。
本展はゴッホの画家人生の前編と記述したが、2027年2月には後編が分かるだろう。オランダの至宝「アルルの跳ね橋」が約70年ぶりに来日することが予告されている。
次回のゴッホ展もおそらく大混雑が予測されるだろう。事前チケットを予約した上で、寒さ対策を万全にして挑もうと思う。
展覧会名:「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」
会期:2025年9月20日~2026年2月1日
会場:神戸市立博物館
所在地:神戸市中央区京町24番地
公式ホームページ:大ゴッホ展 公式サイト
ライター:石倉佳奈
広告代理店で6年間営業マンとして勤務したのち、1年間日本全国の美術館をめぐるひとり旅へ。現在は美術館で看視員をしながらフリーランスライターとして活動中。国内の美術館を全制覇するのが夢。
