「旅行」と聞いて最初に思い浮かぶイメージは、私は「寝台列車」です。少し変わり者かもしれません。
皆さんは「寝台列車」を知っていますか?寝てる間に目的地まで運んでくれる便利な移動手段です。さすがにご存知ですかね。では、「寝台列車」を最初に知ったきっかけは覚えていますか?
私が最初に「寝台列車」の存在を知ったのは、まだ小学生の低学年だった頃。当時読んでいた漫画「ドラえもん」に出てくるスネ夫の自慢話がきっかけです。
『すばらしかったよ。ブルートレインの旅。ベッドはゆったり。町のあかりが、矢のように窓の外をすぎていく。まるで、星の海をとんでいるみたい。』
(ドラえもん第25巻「ブルートレインはぼくの家」より引用)
スネ夫の表現力の高さが素晴らしいですね。この自慢話を受けたのび太はもちろん、読んでいた私も「うらやましい!」と唸ってしまいました。そうか、世の中には夜中に走る電車があるのか。その車窓はさぞかし美しいんだろうなぁ…。
幼い私に強烈な印象を残したこの出来事が、私の「旅行」のイメージに大きな影響を与えました。自分もいつか、寝台列車に乗ってみたい…!
時が流れ、2023年。私は26歳。
世界を震撼させたコロナウイルスの脅威が徐々に緩和され、行動の制限がようやく解除され始めました。無事に就職してしっかり稼ぎを得た私は、長年憧れていた「寝台列車の旅」を実現しよう!と行動に移すのです。
現在、定期運行している寝台列車は東京〜出雲 or 高松間を走る「サンライズ号」のみ。運行には莫大なコストがかかることや飛行機など他の公共交通機関の充実により、寝台列車は淘汰されています。
「近い将来、サンライズ号もなくなるかもしれない。その前に夜行列車に乗っておきたい」という考えもあり、「サンライズ号」の乗車券の入手は至難の業です。しかし、なんとか確保することができました。

こうして十数年の時を経て、ようやく念願だった寝台列車に乗車しました。
「サンライズ号」は2階建てなのですが、私が取れた座席(部屋)は運良く2階。自分の部屋にあるベッドに転がると、ちょうど天井に窓があって星を眺めることができるのです…!
乗車日は1月8日。冷たい冬の気候が空気を澄ませ、真っ暗な空に輝く星がハッキリと見えました。ガタゴトと音を立てながら進む列車。窓がスクリーンのようになり、ゆっくりと星の位置も動いていきます。
「あぁ、スネ夫が言っていた星の海ってこれのことか…」
幼かった頃の私へ、ようやく本物の「星の海」をプレゼントすることができました。夜空に浮かぶオリオン座の景色は今でも鮮明に思い出せます。本当に素晴らしい経験でした…。
こんな感動的な体験ができる旅行ってなんて素敵なのでしょう。私は普段「旅行」なんてまったくしなかったのに、この経験をきっかけに2023年から現在(2025年)まで毎月どこかに旅行するほど「旅好き人間」になってしまったのです。
皆さんが幼い頃に憧れていたことはなんですか?
それは、今のあなたなら実現できるのではないでしょうか。幼かった頃の自分へ、少し遅くなってしまったかもしれませんがプレゼントしてみてはいかがでしょう。
もしかしたら、今のあなたも熱中する「人生の趣味」が見つかるかもしれませんよ。
ライター:あぐ