芸術の本質を問う千住博の芸術指針|AIの発展の裏側に見出されるアナログの素晴らしさ【佐川美術館リニューアルオープン記念展】

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滋賀県守山市にある佐川美術館が、7月1日から夏に相応しい2つの展示会を開催している。2025年9月29日から2026年6月末まで約9か月と長期間の施設改修・メンテナンス工事による休館を経た、リニューアルオープン記念展である。


ひとつは子どもと一緒に楽しめる体感型アート展覧会「魔法の美術館Ⅳ」。ただ今回は、もうひとつの展示「千住博 水の調べ、水の輝き」に注目したい。


本展は、日本のアートシーンを牽引する日本画家・千住博の個展である。日本画・彫刻・陶芸の分野に特化した佐川美術館で、千住博が魅せる画業35年の挑戦と革新、そして芸術の本質を見ていこう。

地球は生きている!自然のエネルギーを日本画で表現

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筆者が千住博さん(1958〜)の作品を初めて見たのは2023年9月、長野県にある軽井沢千住博美術館だった。もともと、日本画に興味があったので、現代日本において第一線で活躍する日本画作家の作品は見ておくべきだ!と思ったのを覚えている


千住博さんの代表作の多くは、(読者の皆さんが想像するような、という意味の)一般的な日本画のサイズとは大きく異なる。日本画の小作であればおおよそ4号~6号(約30×40㎝)だが、千住博さんの場合は150号(約162×227㎝)や500号(約227×324㎝)と大作揃い


このサイズに描かれた”大自然”を見れば、きっと『息を呑む』という体験をするだろう。作家の代表的なシリーズ「フラットウォーター」を初めて観た筆者は、怖い、と思った


「フラットウォーター」は作家が東京藝術大学在学中に訪れたときに見たハワイ島の溶岩が広がる風景の描写だ

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ハワイ島の


作家がこの風景を描こうと決めた理由は、足から伝わる溶岩の熱だったそう

「地球は生きている。地球のエネルギーを感じる!」(本展特別インタビューよ

地球の成れの果てにも見えるし、大地が生まれた原初とも見える。ただ、この風景は地球の途中経過の切り取りで、熱を帯び、今でも呼吸している。その息遣いを作家は捉えている。

天然の絵具と色味にこだわる千住博のスタ

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「ウォーターフォール・オン・カラーズ」(2022年/佐川美術館蔵)


作家の自然へのこだわりは使用する絵具にも及ぶ。本展では真っ直ぐな滝の間から覗くカラフルな作品に目が行くだろう。「ウォーター・オン・カラーズ」で見られる彩りについて作は、

「身近にあって、馴染み深い自然の色を選択し、天然の絵具で描いてる」

と述べている。(本展特別インタビューり)


派手な印象もあるが、決して人工的なものではなく、普段私たちが大地や空、水、炎など自然で見ている色を取り入れているに過ぎない。また、天然の絵具を使用することで、劣化や変色しないまま後世まで残すことがでる。

ただ美しいと感じるだけでなく、なぜ美しいと感じるのかを考えてみると、作家の芸術性が見えてくるだろう。

芸術とはプロセスを見るもの─AIの利便性と古典へ

回帰

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『芸術とはなんだろう』と作家は問う。とくに新型コロナウイルスを契機に、急激に発展、普及したAIなどのデジタル技術で、現代人の生活は様変わした。


スマホがあれば、調べ物も、コミュニケーションも、学習も、娯楽も、いつでもどこでもインスタントに手に入れられるようになった。たしかにデジタル技術、中でもAIは非常に便利なのある。


だからこそ作家は、昨今は”芸術の本来の在り方を問う時代”なのだと述べる。古代の壁画までさかのぼる原点回帰を目指し、アナログの素晴らしさを作品を通して見てしい。


さらに作家は、「芸術とはプロセス(=体験)を見るもの」だと訴える。芸術において大切なのは、『素材感』と『体験(五感)』なのだ。これはデジタル技術においては専門外だろう。そこに芸術の根本的な価値と役割が存する。


ぜひ「千住博 水の調べ、水の輝き」でその”体験”をしてほしい。また、初出展となる蛍光塗料で描かれた「龍神逸Ⅰ・Ⅱ」も見物だ。本展は9月6日ま開催。

※本展では写真・動画撮影はすべて禁止

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展覧会名:千住博 水の調べ、水の輝き

会期:2026年7月1日~9月6日

会場:佐川美術館



ライター:石倉佳奈

広告代理店で6年間営業マンとして勤務した後、1年間日本全国の美術館をめぐるひとり旅へ。現在はSEOライティングやインタビューライティング、イベントディレクターなどさまざまな仕事を請け負うフリーランスライターとして活動中。日本全国の美術館と博物館を制覇すること、ヒマラヤマーモットを飼うことが今の夢。