7月4日(土)から大阪・あべのハルカス美術館で始まった「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち 」を観てきた。先月の記事でも紹介した本展だが、予想以上に印象派たちの作品を歴史をなぞるようにじっくり堪能できる内容だった。
バルビゾン派から始まり、印象派、ポスト印象派、点描表現が始まった新印象派など、当時の表現の変遷が分かりやすく整理され、ゴッホ以外にも、新しい表現に挑戦した画家たちの生き様の作品が観られる。
今回は、「セーヌ河」「時代と表現の変遷」「ゴッホの跳ね橋」の3つに分けて、展示の概要を筆者の主観でご紹介しよう。
セーヌ河を描く印象派
たち
今回の展示で数点共通するモチーフに気付くだろう。
セーヌ(Seine)河は、フランス北部を流れる全長777kmの国を代表する河川のひとつ。東部のブルゴーニュ地方付近を源流として、パリ→ルーアン→ル・アーヴルと流れ、最後はイギリス海峡(ラ・マンシュ海峡)に行き着く。

またセーヌ河は、印象派作家の誕生にも深く関わる舞台で、19世紀のフランスの画家たちがさまざまな表現で描いている。
本展でも、クロード・モネ、ベルト・モリゾ、ギュスターヴ・カイユボット、ポール・ゴーガン、ポール・シニャックといった印象派の代名詞のような人物から、新印象派のシニャックまでがセーヌ河をモチーフに選んでいる。

上段左:「アニエールのセーヌ河」クロード・モネ(1873年)
上段右:「セーヌの舟」ベルト・モリゾ(1879~1980年頃)
下段左:「セーヌ河畔のボートと小屋」ギュスターヴ・カイユボット(1891年)
下段右:「セーヌ河畔」ギュスターヴ・カイユボット(1891年)

左:「ポン・ド・グルネルのセーヌ河」ポール・ゴーガン(1875年)
中央:「クールブヴォワのセーヌ河」ポール・シニャック(1883年)
右:「サモワ、習作8番(サモワのセーヌ河)」ポール・シニャック(1899年)
本展では、同時代を生きた作家たちのそれぞれの視点や時間帯、季節をイメージしながら作品を見比べてみると面白い。そこに作家ごとに異なる表現技法が加わり、彼らがどのようにしてセーヌ河を見たか、捉えたかがわかるだろう。
ゴッホの跳ね橋は明るい!光の表現と日本への憧れ

時代と表現の変遷、ジャポニスムの影響|バルビゾン派・印象派・ポスト印象
派・新印象派
この時代の変遷を見るとき、キーワードとなるのが、次の3つだろう。それぞれのワードの概要も改めて整理したい、
バルビゾン派
1830~1870年代
森や農村など自然をありのまま描く。戸外制作(外で描く)を重視。
印象派
1870~1880年代
光や空気、一瞬の印象を描く。戸外制作をさらに発展させた。
ポスト印象派
1880年代後半~
印象派を土台に、感情や構図、個性を追求した。
新印象派
1880年代後半~
色彩理論を取り入れ、点描など科学的な手法を発展させた。
さらに「ジャポニスムの影響」は無視できない。とくにゴッホの「跳ね橋」にも十分にジャポニスムの影響と憧れが見える。
ちなみにゴッホは日本に訪れたことは一度もない。(モネなどは来日記録在り)だからこそ、未だ見ぬ”ジャポン”への強い憧れが作品にも表れている。隠れたジャポニスムを見つけるのもきっとおもしろいだろう。
展覧会名:ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たちヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵
会期:2026年7月4日~9月9日
会場:あべのハルカス美術館
ライター:石倉佳奈
広告代理店で6年間営業マンとして勤務した後、1年間日本全国の美術館をめぐるひとり旅へ。現在はSEOライティングやインタビューライティング、イベントディレクターなどさまざまな仕事を請け負うフリーランスライターとして活動中。日本全国の美術館と博物館を制覇すること、ヒマラヤマーモットを飼うことが今の夢。
