「Calvin Klein(カルバン・クライン)」の下着と聞いて、私たちがすぐに思い浮かべるのは何だろう?
スッキリとした白地に太めのゴムウエストバンド、そしてブランド名が堂々と印字されたシンプルなデザイン。それなのに、どうしてこんなにも“セクシー”だと感じるのだろうか?
本記事では、その“セクシーさ”の秘密をデザインの視点から読み解いていく。
1. 余計な装飾を削ぎ落とした「引き算」の美学
カルバンクラインの下着は、総じて装飾性が低く、シルエットも非常にミニマルである。レースやリボン、過剰なプリントがなく、素材と形だけで勝負している。この「引き算の美学」は、身体そのもののラインを強調し、着る人の肉体美を引き立てる。
このような潔いデザインは、セクシーさを「誇示」するのではなく、「滲ませる」ものだ。
つまり、露骨な性表現ではなく、あくまで“知的”で“洗練された”色気を醸し出す。
2. ロゴの配置と太めのウエストバンドが生む存在感
CKの下着を象徴するのが、太めのウエストバンドにあしらわれたブランドロゴだ。このロゴは実用性の中にファッション性を見出した代表的なデザイン要素である。
ロゴを正面やサイドに大胆に配置することで、「下着=見せないもの」という前提を覆し、「見せてもいい下着」へと昇華させた。これは1990年代に始まったカルバンクラインの広告戦略(ケイト・モスやマーク・ウォールバーグを起用)と深く結びついており、アンダーウェアを“ファッションの一部”に押し上げた。
ウエストバンドがしっかりとしているため、ヒップラインや腰の曲線が際立ちやすく、結果としてよりセクシーに見えるという効果もある。
3. ジェンダーレスな色気と中性的な魅力
カルバンクラインの下着が持つもう一つの特徴は、男女ともに通用する中性的な色気である。ユニセックス的なカラー(白・グレー・ブラック)やフォルムは、男性的・女性的という枠を超えた魅力を放つ。
この曖昧さが、逆に見る人の想像力を刺激し、セクシーさの奥行きを生み出している。
はっきりとした“性”の記号ではなく、“余白”としてのエロティシズム。
それはカルバンクラインが提案する現代的な「セクシー」の定義なのかもしれない。
4. 身体に沿うカッティングと肌触りのよさ
機能的な話も見逃せない。カルバンクラインの下着は、肌に吸い付くような素材と緻密なカッティングによって、身体のフォルムをナチュラルに強調する。これは「第二の肌」ともいえる存在で、着る人自身の自信を引き出す。
セクシーとは、他者の視線に向けた表現だけではない。
自分の身体を受け入れ、肯定し、快適に感じること――
カルバンクラインの下着は、その「内なるセクシーさ」を呼び覚ますプロダクトでもあるのだ。
結論:セクシーとは、“見せる”ではなく“感じさせる”デザイン
カルバンクラインの下着は、シンプルでありながら挑発的。大胆でありながら繊細。
そのすべてが、“身体そのもの”を最も美しく魅せるために設計されている。
セクシーとは、装飾でも、露出でもない。
余白を残しながら、静かに自信と魅力を語る――
それが、カルバンクラインの下着が放つ時代を超えたセクシーさの理由なのだ。