私も人生の中で、日本の四方の端っこに行くことが目標の一つだ。今回は『最北端』を目指す旅をしてみた。鉄道の最北端である「稚内」と、地理的に最北端である「宗谷岬」をゴールに設定した。

まずやってきたのが、日本最北端の線路であるJR稚内駅。飛行機とバスを使えば数時間でやって来れるのだから良い時代だとつくづく思う。ここの駅舎はかなり広くて、映画館もあるのだから驚いた。最北端だから、もっとこう…田舎というか、レトロな感じをイメージしていた。でも現代っ子の私は、やっぱりこのコンクリートに囲まれた建物内が安心する。駅舎内では「最北端出発・訪問・到達証明書」を無料でゲットできるので入手しておきたい。

この「稚内駅」からバスに乗ってさらに北上すること50分。今度は『線路』ではなく、正真正銘の「日本の北の端っこ」である宗谷岬に到着した。ここまで来ると、ありとあらゆるものに「最北端の〇〇」という表示がある。ちなみにここでも「最北端到着証明書」が入手できるが、こちらは有料だった。宗谷岬は稚内駅よりも北にあるのだから、ここで得られる証明書こそ本物じゃないかと思って購入した。商売上手め。
最北端の自販機で飲み物を買い、最北端のトイレで用を済ませ、最北端のバス停でバスに乗って稚内のホテルまで戻った。ここが最北端じゃなければ、ただの日常の一コマであるのが面白い。
稚内駅の近くにある、ほぼ唯一の観光スポットである「稚内港北防波堤ドーム」にも行ってみた。鉄道よりも船での移動が主だった時代に造られた、定期船発着所だ。アーチ型の構造が魅力的だが、私の目を惹いたのは、ここから見える海の景色だった。

昼と夕方の境界のような…うっすらと残る青空を、オレンジとピンクを混ぜたような色の雲が包みこんでいる。傾いた太陽はテトラポッドに影を落とし、海面に空の色を反射させた。綺麗な一直線の水平線を見るのはいつぶりだろう

思わずカメラのシャッターを切る。この美しい色彩をしっかりと記録できる現代技術に感謝をするが、映像だとどうしても四角形に切り取られてしまうことが悔しい。見渡す限り広がるこの絶景は、今この瞬間しか楽しめないのか…。
見惚れている間にも空の様子は刻一刻と変わっていく。写真撮影はそこそこに、私は肉眼にこの景色を焼き付けることに集中した。日本の最北端で見た、28歳の夏の終わりの思い出である。
ライター:あぐ
