
2月7日(土)から京都市京セラ美術館で始まった「特別展 日本画アヴァンギャルドKYOTO1948-1970」では、1940年代以降に結成された創造芸術・パンリアル美術協会・ケラ美術協会といった3つの美術協会を中心に活躍した当時の日本人芸術家たちによる軌跡が展示されている。
先の記事では、創造芸術について触れたが、本記事ではパンリアル美術協会・ケラ美術協会が結成された時期の作品について見ていきたい。
パンリアル美術協会|既成概念への批判と「リアル」の追求
パンリアル美術協会は1949年に結成された日本画の前衛団体だ。山崎隆と三上誠が「ふたりでなにか新しいことをやろう」となったときに旧団体の再建を試みるも、うまくいかず。その後、京都で新団体の結成へ動いた。
パンリアル美術協会による第1回展では、「吾々は日本書壇の退嬰的(※)アナクロニズムに封してここに宣言する」とパンリアル宣言を残し、「感傷を踏みにじれ」「温床をぶち壊せ」といった強烈な言葉で旧体制と既成概念を批判した。
(※)退嬰的…新しいことや進歩的なことに消極的で、しりごみしたり、現状に留まろうとしたりする様子を指す言葉

この時期の作品では”立体感”が記憶に残る。例えば大野俶嵩の「緋No,24」ではこれが日本画か?と疑いたくなるあまりに斬新で強烈な印象を残す。朱に近い赤にマットに塗られた背景にドンゴロスと呼ばれる目の粗い麻袋を貼り付けた本作は、本展のポスタービジュアルにもなっている。モノが飛び出すというこれまでの平面的な日本画ではありえなかった立体的作風からは、時代の革新を目指す鋭い視線が感じられる。
ケラ美術協会|20世紀は「宇宙時代
」
パンリアル美術協会結成から10年後の1959年にケラ美術協会が結成された。パンリアルから影響は受けつつも、さらに若い世代の芸術家たちによる意欲的な美術団体の誕生だ。「ケラ」とは細胞を意味し、分裂・拡大するように、この運動があらゆる人たちに賛同されるようにと希望を孕んだものだった。
また、この団体の宣言では「20世紀は宇宙時代だ。地球上の争いのごときは、宇宙から見れば夫婦げんかにすぎない」とし、これまでの美術団体や旧体制の因習は大したことではないと若き情熱で打破することを謳っている。
このあたりから反抗的な表現として抽象画が多く羅列されていくこととなる。つまり、20世紀日本美術の誕生となるのだ。
昨今の日本ではあまりデモクラシーや反対運動などはめっきり少なくなった。(海外が多すぎるだけなのかもしれないが…)現代日本人のパワー不足なのか、情熱が足りないのか。本展ではかなり刺激的な19世紀の若人たちの情熱が籠った作品展であった。
戦後の京都で展開された芸術家たちの反抗的で新時代への突破を目指した生き様を「特別展 日本画アヴァンギャルドKYOTO1948-1970」でぜひ感じてほしい。本展は5月6日まで開催中。
展覧会名:特別展 日本画アヴァンギャルドKYOTO1948-1970
会期:2026年2月7日~2026年5月6日
会場:京都市京セラ美術館 新館東山キューブ
公式ホームページ:特別展 日本画アヴァンギャルドKYOTO1948-1970
ライター:石倉佳奈
広告代理店で6年間営業マンとして勤務したのち、1年間日本全国の美術館をめぐるひとり旅へ。現在は美術館で看視員をしながらフリーランスライターとして活動中。国内の美術館を全制覇するのが夢。
